東京高等裁判所 昭和28年(ネ)1703号・昭27年(ネ)949号 判決
次に、右認定の代物弁済契約が第一審原告等主張のように公秩良俗に反する契約であるかどうかを按ずるに、原審証人羽生四郎、当審証人出羽計裕の各証言と原審での第一審原告代表者本人の尋問の結果及び当審での鑑定人深田敬一郎の鑑定の各結果によれば、右契約の昭和二十四年五月二十三日当時の別紙目録記載の不動産の時価が合計金三百六万七千円であつたことを認めることができ、右認定に反する原審での第一審被告本人尋問の結果は採用できない。さうだとすれば第一審被告は上記認定のように一ケ月(三十日)一割の高利をとり、利息を支払わなければ弁済期を延期しないのであるから、たとえ右利息をそのまま認めるとしても三十八万五千円の債権の代物弁済としてその約八倍弱の金三百六万七千円の右不動産を取得する契約であるわけである。右のような契約は終戦後の経済状態が未だ安定していない当時であつたことを考へても、債権者である第一審被告にのみ暴利を与へる契約であるから、民法第九〇条の公秩良俗に反する契約で無効であると解するを相当とする。従つて、第一審被告は右各不動産の所有権は未だ取得せず、上記認定の所有権取得の登記は抹消しなければならない。